「あまり拷問は出ないけどオススメです」と、言われて読んだ本です。
たしかに、拷問要素は本当に少しだけでした。登場した拷問具がファラリスの雄牛だけですからね。しかも、処刑具として使われてましたし。
元々ジャンルがギャンブル漫画であり、拷問がメインの漫画ではないので当然といえば当然です。とはいえ、では私が全く楽しめない漫画なのかといえば、そうではありませんでした。
むしろ、拷問を調べている私だから楽しめる部分というのがありました。おそらく、この図書館(サイト)に来ている人ならば、同じように楽しめる部分だと思います。
絶望の作法
この漫画で私が最も気に入ったのは、登場人物を絶望させるプロセスと、絶望しているときの様子です。これだけ書くと、ひどい感想ですね(笑)
この漫画はギャンブル漫画ということもあり、心理戦やその結果として絶望を味わうというシーンが数多く見られます。これが非常に良い。
あまりネタバレになるようなことは言いたくないですが、例えば大切な人の命を自らの手で奪わせてみたり、一度絶望させた後に救済を用意してその後また絶望させたり、などなど。
そのような分かりやすく絶望するシーンが多く、またそうなったときに分かりやすく絶望してくれるので、面白く読めたわけです。
苦痛だけが拷問じゃない
拷問では、苦痛を与えることで犠牲者からの自白などを強要します。ここで重要なのが、目的は自白などをさせることにあるということです。
つまり、結果が同じなら手段は苦痛以外のものでもいいということですね。もちろん、それが、絶望でも良いわけです。
事実、誰からも信用されないことに絶望し、やっていない犯罪を自白した、なんて話は現代の日本でも聞くことのある話ですからね。
拷問を調べている人間にとって、自白などを促す手段というのは興味の範疇です。その回答の1つとして、絶望の作法は面白い話題だと思いました。
続きを読めないことが最大の拷問
総評として、私はこの『たとえ灰になっても』という漫画を気に入りました。が、だからこそ1つだけ不満があります。それは、この漫画の続きを読めることはもうないということです。
作者が亡くなっているのでは仕方のないことですが、続きが気になるだけに、読めないというのは非常につらい。
続きを読めないということが、この漫画1番の拷問かもしれません。いや、定義的には拷問ではないですが(無粋)
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