拷問という言葉に怪しい魅力を感じる人間というのは多くいるのだろうと思います。実際、このサイトにもそんな目的で訪れているのが少なくないのでしょう。
そして、思っていたのと違うとガッカリしたことだと思います。
先に言っておきますが、私はその様な考え方を否定するつもりはありません。
拷問という深淵は非常に深いものです。興味本位で覗こうとすると、途端にその魅力に引きずり込まれてしまう。
そうやって、軽い気持ちで興味を持った人間を取り込んで、この拷問界は広がっていく……と思うので、とにかく興味さえ持ってもらえればこっちのものだと思っています。
そんな訳で、興味を惹きそうなのを持ってきました。
『拷問少女』というタイトル
拷問を紹介する解説付きイラスト集
Amazonの紹介文が、そのままこの本の内容の紹介となるでしょう。
西洋史では魔女狩りなどさまざまな時代に使われてきた拷問具。見たこともないおどろおどろしい器具は、日本を含めた世界各地で拷問具の博物館が開かれるほどにカルトな人気を集めています。こちらの書籍は、かつて魔女狩りが行われていた中世~近世ヨーロッパのものを中心に、イラストで拷問具の使い方を解説する書籍です。着衣拘束イラスト、というワードが気になる方へ向けた本格派。有名なあの拷問具、実は使い方が違っていた!という新たな発見がたくさんつまった一冊です!
Amazon紹介文より
紹介文を読んだだけで、本の内容が一発で分かりますね。
ただ、言わせてもらうと、この本は全く「本格派」ではありません。
そもそも拷問の本格派とは何かと言われると困ってしまうが、少なくとも、拷問の詳細な解説を期待して読むとガッカリすることでしょう。
この本のジャンルを一言で言い表すなら、「拷問を紹介する解説付きイラスト集」というのが最適でしょう。
紹介されている拷問・処刑は合わせて40くらい
この本はページ数で言えば90ページ程度ですが、その中で紹介されている拷問・処刑の数は約40程度。
ここには明らかに処刑であるものも含まれるため、純粋な拷問の紹介は30程度でした。
物足りないと言えば物足りないのですが、1つの拷問・処刑に対して見開き1ページで解説とイラストを載せるというスタイルのため仕方がないところでしょう。
ちなみに、このイラストは全てを同じ人が描いているわけではなく、複数のイラストレーターが描いているようです。
どこかで見たことのある画風だと思ったら、知っているイラストレーターの絵だった……なんてことも、あるかも知れません。私はありました。
処刑がめっちゃ混ざってる
紹介文では中世から近世のヨーロッパの拷問を中心に〜と書かれているのに、日本の「石抱」が入っているのは良いんです。嬉しいので。
しかし、「鋸挽」や「釜茹で」のような、明らかにヨーロッパでも拷問でもない物が含まれているのはいかがなものかと思いました。
他にも、「磔」や「がみがみ女のくつわ」などなど、結構な数の処刑が解説されています。
拷問だけだと数が少なすぎるから、処刑も入れてボリュームを増すというのは理解できることではあります。
が、それならタイトルなり紹介文なりにそのことを書いておいて欲しかったですね。
処刑が含まれているなら買わない、なんて人間は存在しないと思うので。
拷問というコンテンツで楽しむための本
この『拷問少女』では、目次の前に「はじめに」として以下のように書かれていました。
はじめに
他者の自由を奪いたい。
優越感に浸りたい。そんなサディスティックな思いは、
誰しも心のどこかに隠しているはずです。しかし、実際に行動に移してしまうと、
いろいろな意味で大変なことになってしまいます。本著はそんなイケない欲望を
安全に満たすために誕生しました。背徳感と、少しの罪悪感を
『拷問少女』はじめに より
お楽しみください。
この本は、イケない欲望、つまり背徳感や罪悪感を楽しむために読む本である。
拷問のみにこだわっている訳ではないから処刑も入っているし、イラストもリアリティよりも肌色成分を重視したものになっている。
でもそれで良い。なぜならその方が楽しめるから。ということですね。
ここを入り口にして、拷問の深い世界に入って欲しい
最初にも言ったことを改めて繰り返しますが、私はこの本を否定しません。むしろ、入口として良い物であると思っています。
これは私も拷問を調べてから知ったことですが、人間の悪意はしばしば想像もしないものを生み出します。
考えもしなかった形の苦痛を、かつて実際に受けた、そして与えた人間がいたことを知る。これは非常に刺激的なことですし、背徳的、罪悪的ですらあると言えるでしょう。
この『拷問少女』を読んで興味をそそられた人間というのは、つまりそういうことに興味を持っているからだと私は思います。
そして、より深く拷問を知りたいと思ったら、このサイトの拷問の記事を読みに来てください。
皆さまのご来館を心よりお待ちしております。