スペインの靴

スペインの靴(Spanish boot )
時代 中世
地域 スペイン
備考 異端審問で使われた

形状と使い方

スペインの靴は、当時ヨーロッパで使われていた拷問具である長靴の一種であると考えられます。この拷問具は鉄製で、ブーツのような形状をしていました。その形から分かるとおり、これは犠牲者の足に履かせて使用します。

単に履かせるだけなら何も苦痛はないでしょうが、それでは拷問になりません。この靴を履かされた犠牲者は、次に木製または鉄製の楔を靴の中に入れられることになりました。鉄で出来ている靴は楔が入ってきても大きさはほぼ変わりません。そうなると、犠牲者の足は入れられた楔の数だけ圧迫されることになります。この楔を入れる本数は犯したと考えられる罪の重さによって決められております、軽い罪なら4本、重い罪の疑いがあるなら8本入れられました。この拷問にかけられた犠牲者は、足の骨が砕けたという記録が残っています。圧迫により骨を砕かれるのがどれほどの痛みを生むのかは、ちょっと想像できないですね。

また、鉄製であるこの拷問具はして使用されることもありました。赤くなるまで熱された鉄のブーツはその見た目だけでも十分に犠牲者を恐怖させたでしょうし、実際に履かされたときの苦痛は想像を絶するほどのものだったに違いありません。

この拷問具の優秀な点は、その恐ろしさと違い犠牲者を死に至らせることがほとんどなかったということです。苦痛を与える部位は足だけなので、自白の妨げになることもありません。もっとも、適切な治療がなければ感染症等により死に至ることはあるでしょうが、それは拷問外でのことなので拷問官は気にしなかったでしょうね。

歴史

スペインの靴は、その名前の通りスペインで使われました。しかし、この拷問具の起源は1000年代のスコットランドに見られます。当時の拷問具は編み靴(Brodequin)と呼ばれており、2本の木製の板と、それを固定するための革紐で構成されていました。使い方はスペインの靴とほぼ同じで、木の板で両足を挟んで革紐で固定し、足の間に楔を打ち込むだけです。革紐によって縛られた木の板の間を楔で圧迫することで、足を圧迫します。こちらでも足の骨が折れることがあったようですね。

しかし、革紐による固定と鉄の靴による固定では、やはり後者のほうがよりきつい固定になったでしょう。そう考えると、数百年かけてこの拷問具は改良されたんだということが分かります。

ちなみに、スペインではこの編み靴の鉄製版のようなものも使われていました。そちらは内側に棘が無数についたすね当てのような形状をしており、締め上げるためには楔ではなくネジが使われました。

締め付けがきつくなるほど内側のトゲが犠牲者の足に食い込み、苦痛を与えます。更にネジを締め続けると板による圧迫で足の骨が砕けてしまいまうこともあります。そのため、この拷問を受けた犠牲者の中には処刑される際に処刑台まで歩けなくなってしまっている人もいました。この辺りの効果はスペインの靴とほぼ同じですね。